出戻り転職を成功させるポイント

一度辞めた会社にまた戻る「出戻り転職」。

最近は、企業文化や事業内容をよく知り、即戦力となるスキルを持つ人材の再入社を歓迎する企業も増えているようです。

1. 転職に失敗したと感じたときの選択肢って?

転職活動に臨んだものの、残念ながら結果は失敗……。

その場合に取り得る選択肢には、以下の3パターンがあります。

1.1. 我慢してそのまま働き続ける

転職したいという気持ちはあるものの、再度転職活動に臨むのも難しいという場合などは、今の勤務先への不満や、やってみたい新たな仕事への挑戦をいったん我慢して、そのまま働き続けることになります。

1.2. 新しい転職先を探す

2つ目の選択肢は、転職活動に失敗した理由はどこにあるのかを分析したうえで万全な準備を行い、改めて自分がやりたいことができて経験やキャリアが活かせるような新たな転職先を探すことです。

1.3. 前職に戻る

3つ目の選択肢が、新たな転職先ではなく、前職に戻るということ、いわゆる「出戻り転職」です。

最近では転職を考えている人だけでなく、人手不足で即戦力を求める企業などが出戻り社員を受け入れるケースも増えつつあるようです。

2. 出戻り転職は難しい?

「出戻り転職」とは、会社を一度退職して他の会社で勤務した後に、再び元の会社に転職することをいいます。他社で働いてみて、「やっぱり前の会社の方がいい」と感じ、出戻り転職をする人も少なくないようです。

とはいえ、出戻り転職はそう簡単にうまくいくとは限りません。必ずしも、以前と同じ雰囲気、関係性で働けるとは限らないからです。転職する側にとっても、企業側にとってもメリットが多い反面、出戻り転職ゆえのデメリットもありますから注意が必要です。

出戻り転職には、それなりのハードルがあるということを忘れないようにしたいものです。

次項以降、出戻り転職のメリット・デメリット、転職にあたって注意すべき点などを詳しく紹介します。

3.出戻り転職のメリット

・業務知識があり、企業文化を理解している

出戻り転職の最大のメリットは、前職の業務知識があって、企業文化も理解していることから、会社に「馴染みやすい」ところでしょう。

転職後、多くの転職者が苦労することは、その業界や企業独特の慣習やカルチャー、社内用語などを理解し、人間関係を構築することです。仮にスキルや経験は申し分なくても、前職との仕事の進め方の違いに戸惑いを感じて、すぐに力を発揮できないパターンも多いです。

その点、出戻り転職の場合は、企業文化や社風、求められるスキル等を一定以上理解しているわけですから、社内ルールやシステムを理解するのが早いというアドバンテージがあります。

即戦力として信頼されている

出戻り社員には、以前在籍していた経験からカルチャーフィットの土台があり、業務等のルールのキャッチアップが早く、また会社からも信頼されているので、早期にやりがいのある仕事や役割を任されたり、安心して仕事に取り組める、などのメリットがあるかもしれません。

それに、一度は退職して、社外の視点も得ているため、既存社員にはない発想を持っている可能性もあります。そういう意味では、外に出て戻ってきたからこそ、自身の成長した姿を見せることができるチャンスとも捉えられるでしょう。

出戻り転職のデメリット

・以前とは違う立ち位置を受け入れられない可能性がある

一方、デメリットの例としてよくあるのは、戻ってきた企業が以前と同じポジションやチームに戻れるとは限らないことです。多くの人が出戻り先を「変わらない故郷」のように捉えがちですが、実際は以前在籍していたときと同じ環境であることはほとんどないでしょう。

「私がいたときの会社はこうだった」「○○の仕事のやり方はこうだった」など、かつての姿に固執してしまうと、そのうち周りからも煙たがられて、自分自身の成長の足かせになるかもしれません。

4.出戻り転職するときの注意点

では、出戻り転職を成功させるために注意点すべきことは何なのでしょうか。大切なのは、どんな転職にも共通する「気持ちのリセット」です。

“出戻り”とはいえ、新しい環境への「転職」であることには変わりありません。そのため、企業が事業成長を目指し、人を採用している以上は、「役職、給料が下がる可能性も覚悟する」、「人間関係が前と同じになるとは限らない」ことを前提に転職を考えましょう。

面接では「入社後はどんな部署のどんなチームに配属され、誰と働くのか」など、できるだけ事前に情報収集し、新しい環境に慣れるための準備をしておくといいでしょう。たとえば入社してみたら、「教育担当だった後輩が、出戻ったら上司になっていた」ということもあり得ます。そういう状況になっても、柔軟性を持って環境を受け入れて結果を出そう、とする姿勢が大切です。

また、出戻り先の企業が以前は小さなベンチャー企業だったところが、数年で急成長を遂げて、組織体制が大きく変わっているパターンもあります。社員数が増大していたり、上場をしていたり、M&Aによってグループ会社ができるなど組織規模が変われば、もちろん社風も変わり、働いている社員も以前とは異なるかもしれません。

出戻り転職をする際は、自分が離れていた期間に、その企業がどんな事業戦略で動いていたのか、市場環境や状況がどう変わってきたのかを、きちんと把握しておくことが大切です。

5. 出戻り社員を採用する企業側のメリット

ここまでは出戻り転職をする側のメリット・デメリットをご説明してきました。

それでは逆に、「出戻り社員を採用する企業側」にはどういったメリットがあるのでしょうか?

5.1. 即戦力として期待できる

もともとその企業で働いていたわけですから、即戦力として活躍することが期待できます。人手不足が叫ばれている時代において、即戦力となる出戻り社員は貴重な人材となります。

5.2. 採用・教育コストをかけずに済む

新たに中途採用者を雇う場合、その企業の仕事に早く適応できるように研修などを行う必要があり、当然、そのためのコストもかかります。その点、出戻り社員を採用すれば、そうしたコストが大幅に削減できるので、企業にとっては大きなメリットだといえます。

さらに出戻り社員には、他社で培ってきた経験やスキルが身についています。育成コストをかけることなく、新たな経験やスキルを仕事に活かしてもらえることもプラスの効果となるでしょう。

5.3. 入社後のミスマッチが少ない

以前働いていた社員ですから、その人の能力やスキル、人柄などは十分にわかっているはずです。ですから、転職する側と同じように、企業側にとっても、ミスマッチは起こりにくいといえるでしょう。

6. 出戻り社員を採用する企業側のデメリット

一方、出戻り社員を採用した場合のデメリットとして考えられるのは、他の社員との関係性です。

6.1. 他の社員から不満が出る可能性がある

一度辞めた人が再び戻ってくるわけですから、「また一緒に仕事ができる!」という歓迎ムードがある一方、それを快く思わない人も出てくるはずです。

「どうせ長続きせず、また辞めるのだろう」と不信感を抱かれる可能性があり、役職や給与で優遇された場合には社員の間に不満が生じかねません。

企業側としては、出戻り社員の雇用を成功させるために、他の社員とのバランスを考えることが重要だといえるでしょう。

まとめ

出戻り転職というと、単に「元の環境に戻る」と考えてしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、実際には普通の転職と何一つ変わらないので、出戻りを成功させるには、「気持ちをゼロリセット」することがとても大切です。

出戻り転職後も、スキルアップして活躍してゆくためには、以前の仕事の進め方に執着するのではなく、新しい環境や業務、人間関係にフレキシブルに対応するなどの視点を忘れないようにしましょう。

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